tonbori堂フェイバリット『ダーティハリー』

『ダーティハリー』

tonbori堂のフェイバリット映画です。
やたらとこの映画を引いて話をする癖がありますがよしなに(笑
画像はAmazonより Blu-rayジャケット写真


「ダーティハリー」(原題DIRTY HARRY)は1971年にアメリカで公開された映画で、いろいろ紆余曲折を経て現在の形になったと聞きます。当初のタイトルは「Dead Right」死の権利、死んだ権利というタイトルでミランダ警告をしなかったざためにせっかく逮捕した連続殺人犯が放免されまた殺人事件を起こし、それを老刑事が追うという話だったと聞きます。

 ミランダ警告とはアメリカの刑事ドラマ、映画などで度々、警察官が逮捕の時に読み上げる「お前には黙秘権がある」「喋ったことは不利な証拠として使われる可能性がある」「弁護士を呼ぶ権利がある。もし弁護士がいなければ公選弁護人を付けてもらえる」というやつです。アーネスト・ミランダという人物が強盗の罪で逮捕され余罪として強姦を自白した際に弁護人を付けてもらう権利の告知が無かったという事で最高裁で無罪となった事からこの名がついています。

 元の脚本に、「地獄の黙示録」 のジョン・ミリアスがリライトを加え、犯人を追う老刑事が都会のハンター、西部劇の孤高の保安官のように仕立てられたとの事で、S&W M29という大型ハンドガンを持たせるようにしたのも彼だったとか。S&W M29は当時の拳銃としては世界で一番の威力を持つ実包、.44マグナムを使用する拳銃としてスミス&ウエッソンから発売された回転式拳銃(リボルバー、リヴォルバー)です。6連発で堅牢なフレームを持ち、片手で撃つには強力な反動のため大型化したボディとグリップ、銃身を備えていました。

 今でこそハリー・キャラハンはクリント・イーストウッドの代名詞のような当たり役として認知されていますが、当初はフランク・シナトラが主役のハリーを演じる予定でした。しかし降板、その後幾人かの候補が上がり(中にはジョン・ウェインやポール・ニューマンの名前も)マカロニウェスタンで名を上げたクリント・イーストウッドに決定。

 監督はその前にNYに逃亡した犯人を追いかけてくる保安官役でイーストウッドが主演した「マンハッタン無宿」の監督をつとめたドン・シーゲルに決定。「マンハッタン無宿」がダーティハリーの原型と言われるのはそういう事からです。もっとも直接的なつながりは無いようですが、主人公のキャラ造形や演出が似通っているのでそうとられるのでしょう。

 キャッチコピーも「これは2人の殺人者の話である。一人はバッジをもっている」となかなか刺激的でありヴィランであるスコルピオ(サソリ)は当時 映画の舞台でもあるサンフランシスコを騒がせていた連続殺人鬼ゾディアックキラーを彷彿させる設定も話題を呼びました。ゾディアックキラーに取りつかれた人たちのノンフィクション「ゾディアック」でもダーティハリー公開中にアンケート箱を置いてそれらしい人物が来ないか見張るという話があります。(「ゾディアック」も「セブン」のデビット・フィンチャーの手で映画化されました。)

 孤高の主人公、官僚的で動きの取れない組織、市街地での銃撃戦、手ごわく奸智に長けたヴィラン 、ルールに縛られてピンチに陥るなどなど映画のすべてが詰まっているといっても過言ではありません。当時同年に公開された実録的な刑事が主人公の映画「フレンチコネクション」がアカデミー賞を獲ったのに対して「ダーティハリー」はあまりにもヴィジランティズムが強すぎるためリベラル派からは忌み嫌われもしたと聞きましたが、やはり主人公の行動原理や悪党を退治するというのはスカッとするものです。だからこそ「ダーティハリー」にはその背景も含めて掘れば色々考えるところも多く、映画自体も完成度が高くアクション映画の金字塔として多くの亜流を生み出し、今もなお刑事ドラマのひな型としてあるのではないかと思っています。

tonbori堂映画語り『ダーティハリー』よりテキストをページ用にしています。
参考文献:町山智浩さんの『〈映画の見方〉が分かる本』より。
画像はamazonより 『〈映画の見方〉が分かる本』表紙|町山智浩著















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