M.C.Uの最初の転換点(ターニングポイント)、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』【ネタバレ】M.C.U再見Vol.9-Web-tonbori堂アネックス

M.C.Uの最初の転換点(ターニングポイント)、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』【ネタバレ】M.C.U再見Vol.9

2017年9月2日土曜日

MARVEL movie

X f B! P L

 『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』はキャプテン・アメリカ・トリロジーの2作目にあたります。フェイズ1での『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』は前にも書いた通りM.C.Uのオリジンといってもいいアベンジャーズの発端を描いた作品にもなっていましたが、今回の作品ではキャップの宿敵たるレッドスカル率いるヒドラは滅んだ世界で、新たなる脅威に対処するキャップが描かれています。

動画はYouTubeより|Marvel's Captain America: The Winter Soldier - Trailer 2 (OFFICIAL)|Marvel Entertainment|

 ですが、その裏では恐るべき陰謀が進んでいたという筋書きです。今回『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のかじ取りを任されたのはルッソ兄弟。この作品まではTVドラマなどのショーランナーなどを務めていたのですが、ビッグバジェットの作品は多分これが初めての監督作でした。そしてM.C.Uを大きく揺るがす出来事や、この後にも影響を及ぼす事件いやキャラクターを登場させ重厚なドラマを展開させた手腕は観客を唸らせました。この作品をM.C.Uのナンバー1に推す人も多い映画です。

ストーリー/ウィンター・ソルジャー

※完全に結末まで書いています(ネタバレです)ご注意ください。感想、考察だけを読みたい方は目次で2.「70年代ポリティカル・サスペンス。」からお読みください<(_ _)>

S.T.R.I.K.E

 チタウリによるNY決戦からまる2年の月日が流れ、ワシントンD.Cに住まいを移しスティーブ・ロジャースは現代に適応するのに苦労しつつS.H.I.E.L.Dからの任務を受け出動する日々を送っていた。

 S.H.I.E.L.D所属の艦船がフランスの公海上で海賊にハイジャックされたことを受けS.H.I.E.L.D対テロ部隊S.T.R.I.K.Eとともにスティーブとブラックウィドウことナターシャ・ロマノフが出動。スティーブは一人先行してパラシュートなしで降下し、見張りを倒して、チームを突入させ海賊のバトロックを一騎打ちで倒しテロリストを鎮圧した。その後船内を見回ると指令室でデータをダウンロードしているナターシャを発見する。問い詰めるがフューリー長官からの極秘任務としか答えないナターシャに引っかかりを覚えるのであった。

インサイト計画

 スティーブはワシントンD.CにあるS.H.I.E.L.Dの本部、トリスケリオンでフューリーを問い詰めるが、それに対しフューリーは敵は宇宙からでなく地球上でも脅威が増えつつあるとして、それらに対処するためにS.H.I.E.L.Dが進めている「インサイト計画」の説明を始める。「インサイト計画」とは人工衛星とリンクした新鋭のヘリキャリア3隻で未然に敵を察知し排除する究極の防衛システムであるとフューリーは説明する。脅威からの攻撃を待たずに先手を打ち味方の損害も最小に抑える理想的なシステムだと。しかしスティーブはそれには賛同できかねる、それは恐怖だ、恐怖で人を従わせるのかとフューリーに問う。だがフューリーはS.H.I.E.L.Dの前身、ペギーがその創設時より関わっていたS.S.Rでも裏仕事はしていたと答える。だが実はフューリー自身も性急に動いているこの計画に若干の不安を抱き、秘密裏に計画データの入手をナターシャに命じたのだった。


 しかしデータプロテクトはレベル10のフューリーでも解除できない特殊なもの。作戦に不安を抱えたフューリーは旧知の世界安全保障委員会の理事であるアレクサンダー・ピアースに計画の実行に暫しの猶予を求めることにした。安全が確認されるまでは延期して欲しいというフューリーに対し許諾されたがすっきりしないフューリーはトリスケリオンを後にする。

ウィンター・ソルジャー

 スミソニアン博物館で自分の展示を見ているスティーブ。その後ペギーを訪ねるスティーブ。ごめんなさい、私たちはおおきな過ちを犯してしまったというペギー、老齢により認知症を患っているペギーを優しく見守るスティーブ。その後、D.Cでの朝のジョギングで知り合った退役軍人のサムを訪ねる。退役軍人省で社会復帰の手助けをしているサムに道に迷っていると相談するスティーブ。その頃フューリーは副官のマリア・ヒルに指示しインサイト計画の裏を探ろうとしていた。しかし突然パトカーに偽装した正体不明の襲撃者による襲撃を受ける。辛くもその場を脱したが、行く手に金属製の片腕を持った覆面の男が吸着爆弾をフューリーの車に発射した。横転した車の中に閉じ込められ絶対絶命なピンチをビームトーチで車の屋根を焼き切り下水道を伝ってその場は逃げおおせた。


 サムのところから戻ってきたスティーブ。隣の部屋のナースと会話をして部屋に入ると追手から逃れてきていたフューリーが。この部屋は盗聴されていると筆記し誰も信じるなとスティーブに警告しUSBメモリを渡す。スティーブが応援を呼ぼうとしたとき部屋が銃撃され、フューリーの身体を撃ち抜いた。となりの部屋のナースが銃を持って飛び込んでくる。彼女はS.H.I.E.L.Dのエージェント13だった。フューリーの命令でスティーブの監視と護衛についていたのだった。彼女に後を任せ襲撃者を追跡するスティーブ。しかし追いついた襲撃者に楯を投擲したが金属製の腕でうけとめられてしまい投げ返されその隙に逃亡を許してしまった。

 ライフリングの無いスラッグ弾が使用された事からフューリーを襲ったのは亡霊とも言われる旧ソ連時代から名をはせた暗殺者ウィンター・ソルジャーということがナターシャの証言から分かる。しかし手術の甲斐もなくフューリーは死亡してしまった。

逃亡者キャプテン・アメリカ

 フューリーが死んだ後にすぐピアースから呼び出されるスティーブ。ピアースの父親は第二次世界大戦中、第101空挺師団に所属していてキャップの働きで命拾いをしたとまず礼をいわれる。が、その後に厳しい顔でフューリーのUSBを渡すように迫られる。拒否し退席するスティーブ。ピアースはエージェント・ラムロウが率いるS.T.R.I.K.Eにスティーブを捕らえさせようとさせるが、エレベーターでの激しい格闘の末、スティーブはトリスケリオンから脱出。USBメモリを回収しナターシャと合流してUSBの中にあるデータを探ることにする。まずショッピングモール内のApple StoreからPCでネットにつないでの解析では殆ど何も分からなかった。しかしニュージャージー州ウィートンがデータの出どころというのが分かったスティーブは、ある事を思い出しそこに向かうことにする。


 その場所は、第二次世界大戦中にスティーブが所属した戦略科学予備軍、S.S.Rが訓練キャンプを置いていた場所で戦後に組織がS.S.RからS.H.I.E.L.Dになった後も基地として使われていた場所だった。いわばS.H.I.E.L.D発祥の地である。その地下には大きなフロアが作られ、さらに奥深くには巨大なコンピュータールームが設置されていた。スティーブとナターシャが部屋に入ると自動で起動する巨大コンピューター群。中央の制御卓のキーボードからエンターキーを押すと、PCは自分はアーニム・ゾラであると喋りだした。

 ゾラはS.S.Rに捕虜になった後、米軍のペーパークリップ作戦により他のヒドラの科学者たちとともにS.H.I.E.L.Dの科学部門に迎えられていた。彼らはヒドラの信念、人類に自由は委ねられない、自由を自ら放棄させるように世界の裏から暗躍することを選択し、秘密裏に組織を立て直しS.H.I.E.L.Dへ徐々に浸潤していていたのだった。ゾラはそのための仕上げとしてインサイト計画のアルゴリズムをプログラムするが自らの寿命が来ていることを悟り、その意識を巨大コンピューターに移して、そのアルゴリズムを完成させたのであった。そして理事のピアースをはじめ、S.T.R.I.K.Eチームのラムロウたちもヒドラのメンバーだったのだ。


 何故ゾラが大事な秘密をスティーブ達に告白したか、それは攻撃のための時間稼ぎのためであった。秘密基地にS.H.I.E.L.Dからのミサイル攻撃!しかし寸前で基地の側溝へ身を隠したスティーブはやがて来る追撃部隊から逃れるのであった。スティーブたちが基地から逃げおおせたと知ったピアースは改めてウィンター・ソルジャーにキャプテン・アメリカの抹殺指令を下す。

頼れる男、ファルコン

 ボロボロになった2人はサムのアパートメントに転がり込む。他に頼れる人物がいないためにやむを得ず厄介になる事にした2人。ナターシャはこの展開に自信を喪失しかけるが、スティーブは敵がはっきりしたと反撃に出る決意をする。何故?と問いかけるナターシャにスティーブは『僕はいつでも正直』と答える。ならばサムも自分も協力すると申し出る。軍人とは言え退役したサムにそんなことはさせられないと言うスティーブにサムは軍の機密スタンプが押された書類を見せる。自分の任務はそれだったと。任務中の事故で同僚で友人の兵士を無くしたのはその時のことだったのだ。スティーブは分かったといってサムの協力を受け入れる。そしてヒドラのインサイト計画を良く知るS.H.I.E.L.Dの人物を尋問する計画を実行する。


 ハイジャックされた船から救出されたS.H.I.E.L.Dのエージェント・シットウェルは以前議会の公聴会でトニーからアイアンマンアーマーを取り上げようとしたスターン議員と会っていた。そして別れ際にスターンは「ハイル・ヒドラ(ヒドラ万歳)」と囁く。彼らもヒドラだったのだ。インサイト計画後の事を話し合っていたのだったが、議員と別れた後にスティーブたちに拉致される。ビルの屋上につれていかれたシットウェル。喋らなければどうなるかと脅されて「あんたはそういう人じゃないだろキャプテン」「ああ、そうだが彼女は違う」ナターシャから突き落とされるシットウェル。激突寸前にひらりと影がシットウェルを捕まえる。サムは陸軍の特殊空挺隊員で、特殊作戦用の飛行ユニットのオペレーターだった。その頃の装備を持ち出していたのだ。

 屋上からの紐なしバンジーをさせられ全てを自白したシットウェル。フランスでハイジャックされた管制船もインサイト計画にリンクする衛星の打ち上げのためで計画はもう止められないところまで来ていると自動車の中で告白する。キャプテンたちがどうあがこうが既に無駄だと。だがスティーブはヒドラの陰謀を暴く決意をしたその時、シットウェルは車外に放り出された。ウィンター・ソルジャーが追ってきたのだ。四方を囲まれたスティーブは急ブレーキでウィンター・ソルジャーを引きはがし、ここで戦うと巻き込まれる人が出ると高速道路から離れることにするが、ヒドラの隊員たちはお構いなしに銃撃してくる。サムとナターシャの援護でなんとかヒドラの隊員たちを倒すが、囮になったナターシャをウィンター・ソルジャーが捕まえる。寸前のところでスティーブが止めに入るが、ウィンター・ソルジャーのマスクをはぎ取った顔を見て驚愕する。


 マスクの下には、あのヨーロッパの山中で列車から落ちて渓谷に消えた親友、バッキーの顔があった。しかし呼びかけに答えずかかってくるウィンター・ソルジャー。しかしその場に警察や報道機関などが集まり、抵抗できないスティーブ達はラムロウたちに捕らわれる。そしてピアースの指示で人目のつかない場所で処分されることに。だがマリア・ヒルが先手をうって潜入しておりその場を脱出するスティーブたち。隠れ家に案内されたスティーブたちは思いがけない再会をする。それは死んだはずのフューリーだった。重傷は事実だが敵の目を欺くためにテトロドトキシンの毒で心拍数を極限まで遅くして死を偽装したのであった。信じている仲間さえも騙すやり口に憤慨するスティーブだったがフューリーが生きていたことには素直に喜ぶのであった。


 そして改めてスティーブは反攻宣言をする。フューリーは奥の手としてヘリキャリアのコントロールシステムをストップさせる回路を取り付け起動できなくする作戦を提案するが、スティーブは反対、ヘリキャリアは全機破壊すると宣言。フューリーは反対するがナターシャはじめその場の全員がスティーブに賛成、しぶしぶ了解する。

ヘリキャリアを破壊せよ!

 キャプテン・アメリカを取り逃がしたこととスティーブとの再会で情緒不安定になったバッキーにさらに強い暗示をかけ抹殺命令を再度指令するピアース。そして何も知らない他の世界安全保障理事会のメンバーをトリスケリオンに招集しインサイト計画発動を早めることにした。一旦計画が起動すれば3機のヘリキャリアを止めることは誰にも不可能になる。世界はヒドラの手に落ちてしまう。スティーブ/キャップはコスチュームをスミソニアンから拝借。S.H.I.E.L.D本部トリスケリオンに潜入する。そして基地のコントロールルームの一つから職員全員にヒドラに浸潤されていることを暴露し心ある者は彼らに抗うように伝える。そしてヘリキャリアへそれぞれ散っていくサム/ファルコンとキャップ。ヒルはコントロールルームから全体をサポートする。


 メインコントロールルームでは動揺が走っていた。オペレーターに発進を急がせるように言うラムロウ。しかし何人かは反攻の意思を明確にしコントロールルームに緊張が走る。ラムロウはオペレーターに銃を向けるがその手をエージェント・13が撃ちメインコントロールルームは混乱に陥る。そのさなかラムロウは発進シークエンスを開始させるのであった。浮上したヘリキャリアにファルコンの手を借りて乗り移るキャップ。ひしめくヒドラ側のエージェントを倒して最下部にあるコントロールチップの交換を急ぐ。一方ファルコンも1機目のチップを交換し2機目にとりかかるがクインジェットの猛攻に合う。なんとか交換に成功するもウィンター・ソルジャーの攻撃に合いパックを破損、キャップには合流できずトリスケリオンに不時着する。しかしビル内でラムロウと出くわし格闘することに。


 一方最上階では世界安全保障理事会のメンバーの前で本性を表すピアース。しかし理事の一人に変装していたブラックウィドウの活躍で形勢逆転。そこにフューリーが登場しセーフティロックを解除させてヒドラとS.H.I.E.L.Dへの浸潤を世界中へネットをつかって暴露させる。ピアースはコードロックを変更させたが、フューリーはアイパッチをしている方を予備にとっておいたのだった。しかし隙を見て理事たちにつけたIDカードが致死性の電気ショックを与えるシステムでそれを人質に逃げようとするピアースをブラックウィドウは自ら外そうとしてピアースの動揺を誘いフューリーが射殺した。ブラックウィドウは軽いショックをうけただけで無事だった。


 キャップが3機目のチップ交換に向かう前にウィンター・ソルジャーが立ちはだかる。死力を尽くした戦い、しかしバッキーに止めが刺せないキャップ。時間切れギリギリでチップは交換できたがバッキーとの決着を拒み崩れ落ちるヘリキャリアとともにポトマック川に投げだされるスティーブ。彼を川から引き揚げたのはバッキーだった。バッキーはそのまま何処へ姿を消した。もう1機のヘリキャリアがトリスケリオンに激突、サムは寸前でビルから飛び降りブラックウィドウとフューリーに救助されたがラムロウは巻き込まれた。


 しかし一命はとりとめ病院にかつぎこまれるラムロウ。事件の余波でS.H.I.E.L.Dは壊滅状態。ブラックウィドウは聴聞会に呼び出されるが、確かに危機を招いたことは事実だがその危機を回避できたのも彼らのおかげ、世界が必要としている限りまた活動すると言い放ちその場を後にする。エージェント13ことシャロンはCIAに転籍し、フューリーはそのまま地下へ潜伏、ヒドラの残党を潰すことに。そしてキエフからの資料をナターシャから受け取ってスティーブはバッキーを探す事にするのであった。ヒドラの残党はしぶとく、ストルッカー率いる一派はロキの杖から能力者を産み出した。双子の強力な力を持つ能力者を。そして今しばらくは潜伏し機会をうかがうことに。

 そしてバッキーはスミソニアン博物館に現れ自分の展示をじっと見つめるのであった。

70年代ポリティカル・サスペンス。

 キャプテン・アメリカは元々アメリカ軍の兵士ですが今回はそうではない立場にいます。S.H.I.E.L.Dのエージェントとともに作戦をしていますがあくまでも世界の平和のために模範的兵士として行動していましたが、隠密作戦や隠し事の多いフューリーに少々苛立ち、自分の立ち位置がわからなくなっています。監督のルッソ兄弟がキャプテン・アメリカの中でも屈指の人気キャラクター、ウィンター・ソルジャーを登場させるにあたってどうしようかと考えたのが70年代のスパイサスペンス、ポリティカル・フィクションなストーリーが頭に浮かんだそうです。元になったのはCIAの係官が組織の陰謀と孤立無援で戦う話『コンドル』やナチスの逃亡犯の陰謀に関わった青年の恐怖を描く『マラソンマン』に、ある組織の陰謀を描いた『パララックス・ビュー』などです。

 どれも大きな組織や滅亡したと思われていたと思った組織が実は闇で蠢いていたりというストーリーです。今回の敵ヒドラは「頭を切り落としても2つ生えてくる」と言われる架空の生きものヒドラを組織名にしている原作コミックスでもキャップの宿敵で、レッドスカルが創設したという設定です。ですが、エージェント・オブ・シールドS2~S3においてさらにヒドラに関しては大きな設定がなされているということが判明しますが…それはまた後で。ウィンター・ソルジャーことバッキーは一度捕虜になっていたときにゾラとレッドスカルによって既に改造手術を受けていたことが示唆されており、『ファースト・アベンジャー』で渓谷に落下した時も片腕を切断するだけで生き延びていたことがフラッシュバックで語られます。


 敵の捕虜になって洗脳され暗殺者になると言えば1962年のフランク・シナトラ主演の『影なき狙撃者』ですね。デンゼル・ワシントンで『クライシス・オブ・アメリカ』としてもリメイクされました。そういう部分も入れ込んでいると見てもいいのではないかと思います。時代は変わり、レッドスカルが分かりやすくスーパーパワーで世界を手に入れるのではなく気づかれないうちに世界を支配する恐怖。現代を覆う、言い知れぬ不安感を上手くヒーロー映画に落とし込んだ秀逸なストーリーだと思います。


 また東西冷戦も(ウィンター・ソルジャーはKGBの管轄でソ連にも多数のナチス、ヒドラの科学者が連れていかれてということもこれで分かるわけです)ヒドラが巻き起こした相互不信による恐怖の支配の一環では?と思わせる部分も見逃せません。この辺りは監視社会を描いたジョージ・オーウェルの『1984』などにも通じるテーマですが、あちらは既に監視社会が成った世界で、それをさせないために戦ったのが今回のキャップというところでしょうか。ちなみにアレクサンダー・ピアーズがロバート・レッドフォードなのは先に上げた『コンドル』の主演だったことも大いに関係しているそうで、彼がメインヴィランを引き受けたことにより物語がより一層深いものとなったことも見逃せません。

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M.C.Uフェイズ2を揺るがす大事件

S.H.E.I.L.D壊滅の余波

 今回の出来事はドラマ『エージェント・オブ・シールド』のシーズン1でもストーリーに組み入れられミッドシーズンからラストまでにその影響がありました。中でもヒドラの企みが頓挫したとはいえ、映画に出てきたフォン・ストルッカ―(S.H.E.I.L.D/ヒドラの科学者)や他のヒドラ側であったエージェントたちの反乱で組織は機能不全を起こし、表向きはフューリーも死亡したという事でコールソンは非常に苦しい立場に置かれることになってしまいます。

 信頼していたエージェントが実はヒドラの一味だったという恐ろしい事実の前に疑心暗鬼になるS.H.E.I.L.Dのエージェントたちの苦闘はまさに『エージェント・オブ・シールド』シーズン1のクライマックスでした。この辺りのストーリーと最終話までの出来事は未だに『エージェント・オブ・シールド』というドラマに影響を及ぼしています。マーベル・シネマティック・ユニバースはオールコネクト、全てはつながっているという大前提がありますが『エージェント・オブ・シールド』のキャストが映画に出ることはなく、海外メディアでも基本的に出ることはないだろうという見方をしています。もしかするとコールソンだけはカメオ的出演があるかもしれませんが。


 噂でしかありませんがマーベル・スタジオのドン。ケヴィン・ファイギはTVには興味がなくドラマの出演者に関しても出る計画はないとか。よくメディア向けにはつながっているよ、考えているよ、だが今は計画はないよとはよく聞きますが、どちらにしても映画がメインストリームとすればドラマはサブユニバース扱いでtonbori堂個人としてはぐぬぬってなります。もっともこの『ウィンター・ソルジャー』の一件でS.H.I.E.L.Dは一時壊滅的打撃をうけたものの各地に点在するフューリーの秘密基地やヒドラとの闘いを生き残った者たちで世界を守る使命を果たしているのは間違いありません。シーズンを重ねながらますます立場も厳しくなっていっていますが全ての発端は間違いなく『ウィンター・ソルジャー』にあるのでルッソ兄弟には責任をもってS.H.I.E.L.Dの決着も付けて欲しいところです。当然そこにはフューリー長官も含めてです。『エイジ・オブ・ウルトロン』でしれっと助け舟を出していましたがその後行方不明。インフィニティウォーや4には出演していないという驚愕の噂もありますのでそこは本当にちゃんとして欲しいなと思いますね。

首を斬られてもまた生えてくるHYDRA

 ヒドラ、英語ではハイドラというこの組織はキャップの宿敵という部分でも語られキャップの物語としては今回上手く決着がつきましたが、実は『エージェント・オブ・シールド』でも彼らとの闘いがメインとなっていったというのは上記に記したとおり。そこにインヒューマンズという『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のヴィラン、ロナンの母星であるクリーがはるか古代に地球に飛来し人間に自らの遺伝子を組み込み屈強な戦士をつくろうとしたことが語られます。


 そしてヒドラはそのインヒューマンズに関しても研究を進めていましたが実はその研究には目的があったのです。これに関してはSeason3までの大きなストーリーラインの一つとなっているので真のヒドラを知りたいならば『エージェント・オブ・シールド』のチェックは必須となるでしょう。

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最後に

 この『ウィンター・ソルジャー』はキャプテン・アメリカの第2作でしかもフェイズ2での第3作目にあたりますが、この作品がM.C.Uの転換期というべき作品となっているといっていいでしょう。フェイズ1でアベンジャーズを集めるために存在したと言ってもいいS.H.I.E.L.Dを一度解体するという荒業を70年代ポリティカル・サスペンスなストーリーで語り、さらにはキャプテン・アメリカの魅力であるダイナミックな肉弾戦のアクションでクライマックスに突入する部分をルッソ兄弟は手堅くまとめていることにより、この後の『キャプテン・アメリカ/シビルウォー』の監督も任されることになり、さらには『アベンジャーズ3/インフィニティウォー』『アベンジャーズ4』の監督にも抜擢されました。つまりキャップがこのM.C.Uの中心にいるという証左といってもいいでしょう。

 そしてそれが間違いなくフェイズ3までのM.C.Uの一大クライマックスとなることは間違いありません。そのファーストステップがこの『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』なのです。そういう意味では1本の映画としても優れたヒーロー映画ですが、全体として見てもキーストーンになる作品と言ってもいいでしょう。マーベル・シネマティック・ユニバースを通して楽しみたい方には外せない1本だと思います。

参考|Wikipedia/『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』

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