モーターヘッドからゴティックメードへ。『ファイブスター物語』

機械の神から覇者の贈り物へ。

ファイブスター物語(以下F.S.S)は30年以上にわたる長きに渡って連載している漫画です。途中長期休載という事もあってファンがくっついたり、離れたり。ですが根強いファンもしっかりついていて(かく言うtonbori堂もそうな訳ですが。)連載再開となれば、その月の月刊ニュータイプが重版かかる状況になるわけです。
月刊ニュータイプ2013年5月号
画像はAmazonより 連載再開の2013年5月号表紙

連載再開!そしてGTMショック!

そして、作者の永野護が2004年に『花の詩女 ゴティックメード』の製作にとりかかり実に9年もの長きに渡って休載となり、その間、いくつかのデザイン集のまとめのようなデザインズ1~3が発売となり、25周年を記念してリブートという連載時のままの単行本が発売となりましたが、2013年の連載再開時した時にそれまでの愛読者は度肝を抜かれました。

ちょうど当時の騒ぎのTwitterでのタイムラインのF.S.Sクラスタの大騒ぎがまとめたれたものがありますのでそちらをご覧ください。

これはtonbori堂がまとめたものですが、 #FSS_jpというハッシュタグ周りなのであまり否定派はいません。ですがかなりの賛否両論が巻き起こりました。
こちらはタグ周りからはずれているまとめです。


かなりの困惑ぶり、混乱ぶりが手に取るように分かると思います。そして、それまで騎士(ヘッドライナー)が操縦するロボットの名称はモータヘッドから、『ゴティックメード』になりました。フォルムだけではなくモータヘッドとはまったく違うロボットが出てくる漫画になったのです。

そうですね、言ってみれば『宇宙戦艦ヤマト』のヤマトが途中で『宇宙海賊キャプテン・ハーロック』のアルカディア号になるくらいの変更なのですが、話はそのままというと分かるでしょうか(よけいややこしい?)

デザイナー、永野護

永野護という人は常に新しいメカを試行錯誤している人です。それまで、その関節じゃ曲がらないというロボットアニメの常識を常々なんとかちゃんとしたいと思っていた人です。(それにはいろいろ理由があるわけですが)若い才能であった永野護は本気でそれを考えていて、『重戦機エルガイム』のデザイン全般を富野由悠季監督より任された事により実行に移しました。
重戦機エルガイム大事典表紙
画像はAmazonより ラポート社発行エルガイム大事典表紙

当然、完ぺきではないにせよエルガイムの全てのデザインを任された時にロボットがジャンプした時にショックを吸収するランダムストレートという動きを持つロボットの脚部を設定したり、内部構造はほぼ同じなら、外装のきせかえが可能であるというムーバブルフレームなどを発明していきました。

そういった永野護はブレンパワードでも取り入れた積層装甲に板バネ機構をモータヘッドに逆輸入などをしていましたが、新しいメカニズムを考え付いた時に、どうしてもこのメカニズムをつかってみたくなったようです。それがゴティックメードのツインスイングです。スライドさせることによる新しい関節部は今までのロボットにはなかったもので、その動きを『花の詩女 ゴティックメード』で初めて観た時になんとどう動いているのだ?と頭をひねったものです。
ブレンパワードスパイラルブック表紙
画像はAmazonより ブレンパワードスパイラルブック表紙
しかし常にあたらしいものを探し試行錯誤する永野護という人物の業の深さもさることながら、連載再開でそれまでのモータヘッドを全部捨ててゴティックメードに刷新するのには本当に度肝を抜かされたとともに、ああクリス(永野護の愛称)やりよったなと思って、少しニンマリしてしまったのも事実です。

ファイブスター物語第1回の見開きのレッド・ミラージュとブラック・グラード(黒騎士バッシュ)との一騎打ちシーン。下絵の時点から変わっているそうで、その前の時点でも完成度高いものだったのに、さらに上を目指すなら自分の道を行けというログナーの台詞そのままにさらに良くするために妥協をゆるさない永野護の性格がみてとれます。

デザインを進化させる、もしくは満足のいく形にすることで、モータヘッドを捨てることになってもそれをやるという信念。迷いや躊躇もあったかもしれないけれど、やるとなったらそんな素振りは一切見せずそれをやる。従来のF.S.Sファンが怒って去ってもです。ファンが楽しむ事、喜んでもらう事を第一に考えて面白いものをという事と矛盾しているようですが、多分クリスは、そこに満足して欲しくないというのもあるのでしょう。

これはAFヒュートランが自己鍛錬プログラムにより弱い騎士しか選ばないことにあきれた桜子にログナーが言った言葉ですが
『では聞くが 貴様 自分の最高傑作にそれができるか?それができる者こそ超一流(プリマクラッセ)と呼ばれるのだ! なぜだ? それは最高作が生まれた瞬間に”次”が見えるからだ! ~中略~ 桜子…バランシェ公を目指していると二流に終わるぞ 自分だけを追え!』 リブート7巻P510より
ファイブスター物語リブート第7巻
画像はAmazonより ファイブスター物語リブート第7巻
『花の詩女 ゴティックメード』エンディング後のカーテンコールロールで最後にフィルモアのウォータークラウンをつけた帽子を被っている人物にかぶせて自分の名前とキャプションつけていましたが、実際にはログナーに本人の性格が色濃く投影されているのではないかなと時々思います。と、これは余談ですが。

機械仕掛けの神・モータヘッド

モータヘッドの初期にあたる機体がマシーンメサイア(メイス)です。それは多分機械仕掛けの神という感じであったと思うんですが、ジョーカーではF.S.Sをお読みの皆さんはご存知でしょうが宗教がありません。宗教的な意匠、文言、様式はあっても、それを構成するのは法であったり風習であったり。神様はおりませぬということが前提になっています。

宗教やそういうものを乗り越えた歴史があるとかなんとか書いてたように思いますが、多分、主人公が神様なんでことさらにそういう宗教というものを排したと思います。いや想像ですけれど。ですがナ・イ・ンのファロスディー・カナーン超帝国ってジョーカーの2900年代から3000年代の人から見たら神様も同じようなものです。だからこそマシーンメサイアっていうのは救世主というより神に近いものであるのではないかと考えました。しかも慈悲深い神ではなく審判を下す神です。

これはシバレースのエピソードでスパチュラが一晩のうちに消え去ったという挿話から思いついたことでです。

とまあ、そういった意味合いがあるのかなと、これは勝手な想像でしかありませんが。そこから覇者の贈り物というゴティックメードになったことは前述の新しいメカを試したかった事と共に、物語の根幹にかかわる、人と神との対峙、マジェスティックスタンドの本質を描くために必要な事だったのかもしれないなと考えています。

当然こちらが勝手に考えているだけで、そうなのかどうかは分かりませんし、答え合わせをするつもりもないのですが、『覇者』っていうのはいろいろな事にかかっている気がするのです。それは間違いないなと確信めいたものもありますが、クリスの事だから、あっさり「そんなことは無いよ」って言いそうですけれどね(笑)

モータヘッドの時代にはもう戻らない

それだけは確実だと思います。あたらめて本人がそう明言はしていませんが、これはもう自明の理であるからという事なんだと思っているからでしょう。

そして物語をけん引してきたといってもいいエルガイムからの流れを組むバッシュ・ザ・ブラックナイトから、ダッカス・ザ・ブラックナイトが連載再開後に華々しく登場し、DESIGNS4で現時点での永野護の最高峰のデザインと本人が明言しているということがそれを証明していると思います。
バッシュ・ザ・ブラックナイト IMS プラモデル
画像はAmazonより IMS 1/144 バッシュ・ザ・ブラックナイト

つまり上で上げたログナーのセリフはクリスが自分自身に放った言葉でもあるのかなという事です。それを連載中断前に投げかけるとはもともと2004年から少しづつ発表していって『花の詩女 ゴティックメード』でお披露目となったGTMは既に骨格が出来上がっておりタイミングを考えていたということなのでしょう。
DESIGNS4 覇者の贈り物
画像はAmazonより 『DESIGNS4 覇者の贈り物』

ゴティックメードは『ツラック隊』エピソードでエクペラッパ、ハロ・ガロ、ボイスオーバー、グロアッシュ、バーガ・ハリもバリエーションが多く登場しさながらGTM祭りとなりましたが、アルカナ・オーデルやSBBファウストなどが未登場。トラフィックス3パルスエットエピソードではGTM戦より個々の話が中心になるといわれているのでGTM登場は少ないかもしれませんがチラリと映ったりとか、モブで入り込んでくるかもしれないので今後の展開とDESIGNS6となるであろう、作品集クロスジャマ―に収められるGTMの新デザインが今から楽しみです。当然ツラック隊のエピソードが収められた第14巻もです。



何時になるか?第14巻

さて第14巻、何時頃になるでしょうか?作品集クロスジャマーも同時進行。予想としては来年の今頃に告知が出て冬頃だと嬉しいなというあくまでも希望的観測ですが(笑)早くなる分にはウェルカムですが、なんてったてクリスの体調が一番なので無理しないようにお願いしたいところであります。



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